「職能資格」の制度がそれを維持するためにコストのかかるものであったのと同様、「技能資格」の制度はそれを維持するためにコストのかかるものだといってよい。前者において、それが雇用調整の柔軟性を制約することのコストであれば、後者において、それは異なる職業間の移動の柔軟性を制約することのコストとなる。あるいは前者において、それが内部昇進や内部移動に伴うコストであれば、後者において、それは再訓練に伴うコスト
コストは個人負担、ベネフィットも個人負担... の続きを読む
一九五〇年代も末に近づく頃、世界経済の安定的な成長の波に乗って日本経済にも成長の好循環が機能するようになった。春闘をつうじて高額の賃上げが毎年行われるようになり、また春闘に参加する組合や労働者の数がふえるようになったのはこの頃からである。春闘による賃上げ額そして賃上げ率が一九六〇年代から七〇年代の例の高度成長時代にめざましく高まっている事がわかる。それと同時に。この時期には賃上げ額の分散係数が目立
高度成長期に定着... の続きを読む
適切な政策によって「新産業雇用創出計画」が実現され得たならば、日本経済はメガトレンドの変化に充分適応できる自己改革を成し遂げることになる。それは一石七鳥の効果がある。第一に物価が安くなり、第二に実質所得が高まり、第三に消費がふえて人々は豊かになる。そして第四に新しい効率的な産業が生まれて日本の産業構造は近代化し、第五にその結果新しい雇用機会が創出されて、日本経済は完全雇用を維持できる。しかも第六に
国際社会との共存共栄... の続きを読む
二十七歳のKさんが我々の元に相談に訪れたのは、一年半ほど前のことだった。当時彼は、大手ソフトハウスのシステムエンジニアとして仕事をしていた。学生時代からの希望だった税理士の資格取得のために退職したいのだという。「ずっと勉強していたのですが、残念ながら学生時代には資格試験に合格できませんでした。で、私生活の都合で、今の会社に就職せざるを得なかったんです」Kさんのいう都合というのは、学生結婚だった。当
学生時代からの希望だった税理士の資格取得のために退... の続きを読む
日本においてこのような変動が進行するのかを考えるためにも、制度化された雇用システムが何であり、「日本型」としてそれがどのように組織化されているのかを理解する必要がある。ここではその前提として、雇用システムの内部環境と外部環境について述べよう。システムの変動が、その内部環境と外部環境にかかわる機能要件の低下によって余儀なくされるのであれば、まずはその内部環境と外部環境、そしてそこにおいて充足すべき機
労使関係と従業員関係... の続きを読む
Kさんが転職を考えるようになったきっかけは、A社の創業社長が病気で倒れ、専務が代わって陣頭指揮を執るようになったことだった。会社の制度や業績は、社長がいなくなっても大きく変わらなかったが、社長はカリスマ性のある人物で、社長の存在で会社がまとまっている面が大きかったのだ。だが、転職相談にやってきたKさんは「転職する意志はあるが、成功する自信がない」といった様子だった。というのは、A社は他の会社とは制
『特殊な会社』からの転職... の続きを読む
一〇年以上にわたって精密機械製造会社で働き続けてきた五〇歳代の女性は、最初は一年契約だったのが10年目に半年契約に変更させられたうえに次の契約時には、「時給ダウン」と勤務時間「短縮」を呑まなければ雇用は保障しないと通告された。彼女は、正社員以上に会社に貢献してきたという自負をもっていたこともあって、この通告はひどくこたえた。女性は悩んだ末、「承服できない」「これまで通りの条件で働きたい」と返事をし
「時給ダウン」と勤務時間「短縮」... の続きを読む
毎月もらう基本給以外に、夏季や冬季に、ある程度のまとまった額のボーナスがもらえることは、社員にとって有り難いものである。しかもそれが会社の業績や自分の成績によって変わるのであれば、本人の仕事へのやる気を高めることになる。ただ、社員は「アメ」の要素だけではきちんと働かない可能性もある。何よりも長期雇用保障があると、そんなに懸命に働かなくてもよいのでは、という悪魔の誘惑に駆られる社員も出てくるであろう
アメとムチを組み合わせて社員を働かせえるのが会社の... の続きを読む
すでに日本の企業社会では終身雇用という習慣が崩壊のプロセスに入っていることは周知の事実である。新卒採用は終身雇用の人□で、出口が定年退職だ。終身雇用の崩壊は先に出口から始まったが、それは次第に人口のほうにも及んできた。そのひとつの表れが新卒の就職活動におけるインターンシップの普及である。つまり従来は三月三十一日をもってキッパリと学生と社会人が分かれていたのだが、その境目がぼやけつつあり、大学教育と
なぜインターンシップが増えたのか... の続きを読む
平成11年4月より、あらゆる教育訓練における男女の差別的取扱いが禁止されています。女性労働者に対する教育訓練の充実は、配置・昇進において男女を均等に取扱ううえで、不可欠だからです。従来は、業務の遂行の過程外で行なわれる新入社員研修・管理職研修・専門職研修にかぎって均等に取扱うことが必要でした。今後は、OJT(職場内訓練)を含む会社の内外で行なわれるすべての教育訓練において男女を均等に取扱わなければ
教育訓練も男女同一カリキュラムにする... の続きを読む
内閣による構造改革以来の社会風潮だと私は思っているのだが、日本社会全体に「破壊願望」のようなものがあることだ。特に、非正社員などの虐げられた立場にいる人々の破壊願望が強くなっている。例えば、厚労省の元事務次官夫妻などが刺殺された際の世間の反応から、そんなことが読み取れる。公共の電波を扱っているテレビのニュースキャスターが、人が殺されるという重大性よりも年金不祥事との関連に最後まで固執したことは当然
社会の「破壊願望」が日本をも破壊する?... の続きを読む
新卒採用→正社員→終身雇用が最も安定した雇用形態という考え方で、正社員の解雇規制を厳しくして、退職金に対する優遇税制などで正社員・終身雇用にバイアスをかける政策を行う一方で、言い訳程度に派遣労働者など非正社員のためのセーフティーネットを作るだけでは、正社員・非正社員のダブルスタンタードを基軸にした雇用政策を維持するということになってしまう。この体制を維持する限り、派遣社員から正社員に転換できる者は
多様な生き方を認められる社会になれるか... の続きを読む